2018年05月24日

NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第4回


   前回と前々回でNPO法人と一般社団法人の設立手続の概要を解説いたしました。

   今回は、両者の違いに焦点をあてて解説致します。また設立手続以外の項目の違い

   についても併せて解説致します。


 (1)設立手続

   ①手続に要する時間

   NPO法人     →  所管庁(県庁や市役所)での手続に多くの時間を要する
                  のが実情です。縦覧期間と審査期間を併せて通常3ヶ月
                  は要します。ただ条例で期間を短縮しているケースがあ
                  り、福岡市などはもう少し早いそうです。

   一般社団法人  →  株式会社の設立手続に極めて似ています。
                  所要期間は、公証人役場や法務局の混み具合によりま
                  すが、早くて1週間程度と思われます。

   ②費用

   NPO法人     →   所管庁や法務局に対しては、一切費用は発生しません。
                  よって、司法書士に依頼せず、当事者自身で行えばほとんど費用
                  を要せず手続できます(出費と言えば住民票ぐらいでしょうか)。

   一般社団法人  →    ・公証人役場への認証手数料として約5万円を要します。
                  ・また法務局への登録免許税として6万円も要します。
    
   ③社員(組織の構成員)

   NPO法人    →   ・最低でも10名は必要。
                  ・またNPO法人の趣旨が、ボランティア団体などの民間公益団体に
                  法人を付与することなので、団体加入の要件に不当な条件を設け
                  ることも禁止されています。
                  ・社員総会での議決権は、1人1票となる。

   一般社団法人  →   ・設立時は最低2名必要。設立後は1名のみも可(役員が社員も兼
                  ねれば社員ゼロでも構わないとされています)。
                  ・社員総会での議決権は、「原則」1人1票となる。但し定款で別段
                  の定めが可能です。
  
   ④役員

   NPO法人    →   理事3名・監事1名が必須です。監事に関しては法人の活動に従事
                  していない中立的な方を選ぶ必要があります。

   一般社団法人 →     理事1名のみも可
                  但し理事会を設ける場合は、理事3名・監事1名とNPO法人と同じ
                  役員構成となります。
  
                
   上記が設立手続を中心とした両者の違いとなります。上記以外で重要と思われる箇所
   を下記に解説します。


   ⑤事業内容

   NPO法人   →    法律で定められた20分野の活動が主目的となる必要があります*1。
                  よって例えば小売業や出身高校の同窓会など営利もしくは共益的
                  な活動が主だと、そもそも所轄庁から認証が得られません。
                  但し主目的の事業に支障が無い限り付随して行うことは可能です。

   一般社団法人 →    違法または公序良俗に反しない限り、特に制限はありません。

   ⑥情報公開

   NPO法人   →    ・事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告や決算報告を所管庁に行う
                  必要があります。上記書類は公表されます*2。
                  ・役員や定款を変更した際にも届出が必要です。
                  ・以前は資産の総額の変更登記が毎年必要でしたが、平成28年改
                   正で不要になりました。代わりに貸借対照表の公告義務が課され
                   ています。

   一般社団法人 →    ・株式会社やNPO法人と同様、事業年度終了後の貸借対照表の公
                   告義務があるのみ。


   ⑦税務

   NPO法人    →      ・法人税法上の収益事業のみが課税対象となる。
                  ・法人住民税の均等割については、免除申請により課税免除となる 
                   ことが多い。

  一般社団法人  →    ・「非営利が徹底された法人」と税務署に認定されれば、法人税法上
                   の収益事業のみが課税対象となる。

  *税務について詳しくは税理士や税務署にお問い合わせ下さい。


    以上、4回にわたり解説させて頂いたました。2つの法人の概要や違いを少しでも理解
   
     頂いたら幸いです。


 (参考文献)

   宮入賢一郎・森田真佐男 著
         『図解 NPO法人のつくり方・運営のしかた』(日本実業出版社、2007)
     
   城塚健之・堂本道信・山西克幸 著
         『図解 新公益法人の設立・運営・移行のしかた』(日本実業出版社、2008)

   脇坂誠也 著    
         『社会起業家のためのNPO・新公益法人Q&A』(三和書籍、2009)

   登記研究編集室編   『法人登記書式精義 第1巻』 (テイハン、2009)

   登記研究編集室編   『法人登記書式精義 第3巻』 (テイハン、2014)

   後藤孝典・野入美和子・SUパートナーズ税理士法人著
    『事例にみる一般社団法人活用の実務 法務・会計・税務・登記(第2版)』
                                      (日本加除出版、2016)


  *1  特定非営利活動法人促進法 別表(第2条)
     1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
     2.社会教育の推進を図る活動
     3.まちづくりの推進を図る活動
     4.観光の振興を図る活動
     5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
     6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
     7.環境の保全を図る活動
     8.災害救援活動
     9.地域安全活動
    10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
    11.国際協力の活動
    12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
    13.子どもの健全育成を図る活動
    14.情報化社会の発展を図る活動
    15.科学技術の振興を図る活動
    16.経済活動の活性化を図る活動
    17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
    18.消費者の保護を図る活動
    19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
    20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動


  *2  福岡県NPO・ボランティアセンターのホームページでは、提出された活動報告や決算
      報告の内容が掲載されている。ホームページ内のかんたん団体検索などから興味の
ある法人の活動内容などを知ることができる。




  

  




               
   



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Posted by つばめ at 17:39│Comments(0)商業登記
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