2020年07月31日

債権者異議申述手続きについて(今月の月報記事から)

  2020年6月の月報司法書士の特集は、司法書士法改正でした。

  今月号で取り上げたい記事は、商業登記の組織再編などに非常に重要な手続きで

 ある債権者異議申述手続き(会社法449条・789条)に関する記事(49頁)です。


 1.債権者異議申述手続きの必要性
 
  債権者異議申述手続きは、減資手続や組織再編手続(具体的には合併、会社分割

 株式交換、株式移転)で必要とされます。上記手続きは、会社の基礎的内容が大きく 
 
 変更されるので、利害関係を有する債権者へ知らせる必要があるからとされています。


 2.債権者異議申述手続きの具体的な中身
 
  ①官報公告と②知れたる債権者への個別催告(または日刊新聞や電子公告を定款上

 の公告方法と定めた場合には、上記定款所定の公告方法で代替可)に分かれます。

 債権者が多数の至る場合、個別の催告する手間を省きたい場合、定款所定の公告方法

 (登記事項でもあります)を日刊新聞や電子公告に変更すれば個別催告を省けます。但し

 公告方法の変更登記を、債権者異議申述手続きまでに完了する必要があるとされていま

 す。


 3.スケジュールの重要性
  
  債権者異議申述手続きは、減資や合併などの手続きの効力発生日までに終了させる

 必要があります。また債権者異議申述手続きは1か月間要求されているため、スケジュ

 ール管理がとても重要です。(祝日や祭日に注意 GWなど)

 
 4.債権者の範囲

  個別催告で問題となるのが、どの範囲まで行うべきかという点です。税金や公共料金など

 少額の支払いも債務と捉えると、広範に対象が広がります。実務上は例えば100万円以上

 などと線引きすることが多いと言われています。仮に個別催告されないことに不服を申立

 てる債権者が登場しても、弁済してしまえば債権者でなくなるので、一括弁済可能な債権を

 超える債権者に対象を限定することは一定の合理性があるように思えます。


 5.異議の申出があった場合
 
   異議の述べた債権者に対して、①弁済する・②相当な担保供与・③信託、を行うもしくは

 債権者を害さないことを証明すればよいとされています。債権者「異議申述」手続であって

 債権者の同意を求めることまでは要求されていないということです。
   

 6.組織再編における省略できる範囲

   合併と減資手続については一切省略できません。しかし会社分割・株式交換・株式移転で
 
  は、省略できる場合があります。                                 以上




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Posted by つばめ at 19:56│Comments(0)その他
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