NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第1回

つばめ

2018年04月16日 17:36

 私事ですが初めて行った登記手続は、NPO法人の設立手続でした。

 当時任意団体だった所属団体が、諸事情で法人化することになり試験勉強も兼ねて行った

 次第です。


 今回は、違いがよくわからないNPO法人(正式名称は特定非営利活動法人:以下NPO法人

 と呼ぶ)と一般社団法人の違いなどを中心に、数回シリーズで掲載していきます。

 
 第1回は、そもそも法人とは何か、法人のメリット・デメリットについて解説していきます。


 1 法人とは

  私のような名前のある1人1人の人間のことを法律上自然人といいます。

  自然人は、出生と同時に権利義務の主体となります(民法第三条1項)

  自然人とは別に、法律に基づいて「権利義務の主体」としての資格を与えられた団体(主に

  人の集合体ですが、財産の集合体のケースもあります)のことを法人といいます。

 2 法人の種類(公的な法人を除く)

   様々な分類方法があると思いますが、この記事では、営利性の有無と公益的な活動か

   否かで以下の4つに分類します。

  (1)非営利かつ公益的な法人

     ・NPO法人       ・学校法人      ・宗教法人
  
     ・社会福祉法人    ・医療法人

  (2)非営利かつ必ずしも公益的ではない法人

    ・一般社団法人         ・一般財団法人

    ・労働組合            ・信用金庫、信用組合  

    ・生協(いわゆるコープ)    ・農協(いわゆるJA)  

  (3)営利かつ公益的な法人

     (いわゆる公益企業)
     ・電力会社 ・ガス会社  ・バス会社

  (4)営利かつ必ずしも公益的ではない法人

     (いわゆる営利企業)
    ・株式会社    ・有限会社
    ・合名会社    ・合資会社   ・合同会社

 
 *非営利性とは
   
   →  一般的に誤解が多い用語なので解説いたします。
      儲けてはいけないという認識の方が多いように見受けられます。
      
      しかし儲け(黒字と言ったほうがいいかもしれません)がないと法人
      そのものが維持できません。黒字を出すことは全然問題ありません。

      黒字の処理の仕方の違いで、非営利とは、法人の構成員(株式会社
      では株主、NPO法人では会員)に黒字を分配してはいけないことを
      いいます。なお、従業員は雇用契約で雇われている労働者であり
      この場合の法人の構成員には該当しません。過大でなければ給料
      を支給することは全く問題ではありません。
  
  *公益性とは
 
    → 「社会全般の、不特定多数の利益」のことをさします。
      
 
 3 法人のメリット・デメリット


 □メリット  

  ① 社会的信用が高まる。
  
   →通常、法人の方が相手に安心感を与えることができます。

  ② 法人名による登記や契約ができる。

   →任意団体では、代表が交代する度に改めて契約や登記をし直す必要がある。

  ③ 事業委託、補助金、寄付金が得やすくなる(こともある)。
  
   →募集要項などで、法人格が必須になっているケースが散見される。

  □デメリット

  ① 法人税が課される。

  →利益がなくても、法人住民税(県や市)の均等割の納付が必要となる
   (但し免税措置を採用しているケースも多い)。

  ② きちんとした経理や事務処理が求められる。

  ③ 事業報告書(NPO法人の場合)や決算書類の作成が必要となる。
  
  →②と重複しますが、特にNPO法人では毎年役所への提出物があります。


 以上のように、メリット・デメリットがあります。各々の団体の特性に応じて法人格の
 
 取得の可否を決めていただければと思います。

  次回は、NPO法人の設立手続について、細かく解説する予定です。

 なお、当ブログは、過去に3年ほどNPO法人の役員経験のあった司法書士による
 
 司法書士事務所の公式ブログです。

 設立相談などありましたら当事務所まで是非ご一報を。なお初回相談は無料で

 させていただいております。

  

  

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