今回取り上げたい記事は、2020年10月号の「外国人及び在外邦人の本人確認証明書」
についてです。グローバル化を反映して外資による日本への投資が増え外国人が取締役
になるケースも増えているようです。今回は、平成27年2月の商業登記規則改正を踏まえ
主に取締役等の役員就任の登記の際にどのような本人確認証明書が必要なのか、記事を
元に解説します。
1.日本に住んでいる外国人のケース、2.外国に住んでいる外国人のケース、3.外国に
住んでいる日本人のケース、のそれぞれに分けて解説します。
1.日本に住んでいる外国人のケース
住民票や運転免許証あるいは在留カードなど住所の記載のある身分証明書が該当する
とされています。 基本的に日本に住んでいる日本人とさほど変わりません。在留カードが
含まれていることぐらいが相違点と言えます。
2.外国に住んでいる外国人
平成27年2月20日付けの法務省の通達では、
「外国官憲の作成に係る当該取締役等の氏名及び住所が記載された証明書(宣誓供述
証明書を含む。)のほか、住所の記載のある外国官憲の発行に係る身分証明書」
と記載されています。具体的には、住所の記載があるドライバーズライセンスや住所の
記載のある身分証明書が該当します。ただそのような身分証明書が国によっては発行
されていない場合などは、宣誓供述書で代用できます。宣誓供述書とは、当該外国の
公証人が作成する本人確認証明書のことをいいます。
通達記載の「外国官憲」とは第3国でも良いとされています。記事で紹介された例では
アメリカ人がタイ在住の場合、国籍を有するアメリカ本国の官憲や日本在住のアメリカ領事
だけではなく、タイのアメリカ領事やタイの官憲でも構わないそうです。
3.外国に住んでいる日本人のケース
最も一般的なものに、外国在住の日本領事が発行する在留証明書があります。
但しビザの関係で在留証明書が取得できないケースもあるようです。その際には代用と
して署名証明書があります。署名証明書には住所の記載が無いこともあるので注意が
必要です。住所が無い場合、就任承諾書を事前に送付し就任承諾書を合綴した形で
署名証明書を取得すれば良いとされています。日本の公証人の私署証書の認証を
利用する方法もあるそうです。ただ事前の法務局に照会することが良いそうです。
以上