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2021年06月20日

外国人や外国在住日本人の本人確認書類について(最近の月報記事から)

 
     今回取り上げたい記事は、2020年10月号の「外国人及び在外邦人の本人確認証明書」

    についてです。グローバル化を反映して外資による日本への投資が増え外国人が取締役

    になるケースも増えているようです。今回は、平成27年2月の商業登記規則改正を踏まえ

   主に取締役等の役員就任の登記の際にどのような本人確認証明書が必要なのか、記事を

   元に解説します。

    1.日本に住んでいる外国人のケース、2.外国に住んでいる外国人のケース、3.外国に

    住んでいる日本人のケース、のそれぞれに分けて解説します。


     1.日本に住んでいる外国人のケース

     住民票や運転免許証あるいは在留カードなど住所の記載のある身分証明書が該当する

    とされています。 基本的に日本に住んでいる日本人とさほど変わりません。在留カードが

    含まれていることぐらいが相違点と言えます。


     2.外国に住んでいる外国人

      平成27年2月20日付けの法務省の通達では、

    「外国官憲の作成に係る当該取締役等の氏名及び住所が記載された証明書(宣誓供述

    証明書を含む。)のほか、住所の記載のある外国官憲の発行に係る身分証明書」

    と記載されています。具体的には、住所の記載があるドライバーズライセンスや住所の
    
    記載のある身分証明書が該当します。ただそのような身分証明書が国によっては発行

    されていない場合などは、宣誓供述書で代用できます。宣誓供述書とは、当該外国の

    公証人が作成する本人確認証明書のことをいいます。

     通達記載の「外国官憲」とは第3国でも良いとされています。記事で紹介された例では

    アメリカ人がタイ在住の場合、国籍を有するアメリカ本国の官憲や日本在住のアメリカ領事

    だけではなく、タイのアメリカ領事やタイの官憲でも構わないそうです。


     3.外国に住んでいる日本人のケース

      最も一般的なものに、外国在住の日本領事が発行する在留証明書があります。

     但しビザの関係で在留証明書が取得できないケースもあるようです。その際には代用と
     
     して署名証明書があります。署名証明書には住所の記載が無いこともあるので注意が

     必要です。住所が無い場合、就任承諾書を事前に送付し就任承諾書を合綴した形で

     署名証明書を取得すれば良いとされています。日本の公証人の私署証書の認証を

     利用する方法もあるそうです。ただ事前の法務局に照会することが良いそうです。


                                                        以上      


Posted by つばめ at 19:28Comments(0)商業登記

2021年05月17日

合資会社のみなし種類変更について(最近の月報記事から)  

    
     また最近更新が空いてしまいましたが再開します。

     今回取り上げたい記事は、会社形態の一つ、「合資会社」に関する登記手続に

   についてです。あまりお目にかけないマイナー分野ではありますが、近時増加し

   ている「合同会社」でも似たような事情を抱えているので注意が必要です。


  1.問題の所在

     「みなし種類変更」が主に問題となるのは、合資会社の社員(株式会社で言う

   株主兼取締役に近い存在です)が死亡したときです。通常死亡後相続人が会社

   の持分(株式会社でいう株式です)を承継すれば、承継した相続人が社員となり

   ます。しかし平成18年施行の新会社法では、定款に持分承継の定めがないと

   持分を承継できないと規定されました(608条1項)。そのため、定款に持分承継

   の定めが無い場合不都合が生じることがあります。具体例で考えてみましょう。

  2.具体例

     ・つばめ「合資会社」(無限責任社員A・有限責任社員B)
     (定款に社員死亡時の相続人による持分承継の定めはない) 
 
     1)無限責任社員Aが死亡したケース
 
       ① 無限責任社員不存在となる
                ↓
       ② 有限責任社員のみとなるため、法的には即時につばめ「合同会社」となる。

     2)有限責任社員Bが死亡したケース
 
       ① 有限責任社員不存在となる
                ↓
       ② 無限責任社員のみとなるため、法的には即時につばめ「合名会社」となる。

   上記のように、会社形態が、「合資会社」から「合同会社」または「合名会社」へ即時に変更

  されることを「みなし種類変更」と言います。上記ケースでもとの会社形態に戻したい場合でも

  一旦「みなし種類変更」の発生を登記簿に示す必要があります。
 

  3.「みなし種類変更」の登記手続

   具体的な登記手続は以下のとおりです。

  ① 合同会社(もしくは合名会社)への種類変更登記手続

  ② (無限責任もしくは有限責任)社員の加入登記

  ③ 合資会社への種類変更登記手続 
   
   以上の3段階もの登記手続が必要となります。

   ②の社員加入の登記手続については、合同会社に「みなし種類変更」となった場合には

  無限責任社員の加入、合名会社に「みなし種類変更」となった場合には有限責任社員の
  
  加入となります。

  4.さいごに

   定款に相続人による持分承継規定がないがために、場合によっては3のような想定外の

  登記手続が必要になってしまいます。本記事をきっかけに、御社の定款を一度点検して

  頂けると幸いです。なお月報の記事では、旧商法時代から続く合資会社のケースについても

  取り上げられていますが、更にマイナーな論点のため本記事では割愛させて頂きます。


                                    以上
       


Posted by つばめ at 18:58Comments(0)商業登記

2020年05月31日

個人商人の支配人登記

  

  商業登記にも様々な項目があります。メジャーなのが株式会社の設立登記、役員変更

 登記や本店移転登記などの株式会社関係です。最近では合同会社関連や一般社団法

 人関連も増えているように思います。

  しかし商業登記は、いわゆる法人登記だけではありません。法人化していないいわゆる

 個人事業主が、登記をする場面もあります。

  今回はその中でこれまで私が2回ほど受任した支配人登記についてご紹介致します。


  ■依頼のきっかけと背景

 
  2件とも行政書士さんからの紹介でした。依頼者された方はどちらも建設業の方です。

 背景として、建築業の許可申請のしくみがあるようです。 許可申請の要件に、一定の

 業歴がある人を経営業務管理責任者として設置することが要求され、申請者自身が

 業歴の要件を充たしていない場合、別途業歴のある方を経営業務管理責任者としなく

 てはならないようです。経営業務管理責任者は、法人の場合は取締役、法人でない場

 合は支配人とされており、支配人である旨を証明するため登記をすることが要求されて

 います。

  つまり、建築業の許可を取得したいけれども、業歴が短くかつ法人化するまでも無い

 場合、支配人登記が必要となるという訳です。
 

  ■登記事項や作成書類など


    登記事項は以下のとおりで、法人登記と比べシンプルな内容となっています。
   
      ・支配人の住所・氏名
   
      ・商人の住所・氏名(個人事業主の情報が登記されます)

      ・支配人を置いた営業所
       (営業所が個人事業主の住所のみの場合、商人の住所を登記します)


    次に、登記に必要な書類は①委任状のみです。委任状に上記登記事項を記載

   します。記載無い場合、登記官が確認できないため補正になるでしょう。

   通常個人事業主が別途登記をしていることは多くないでしょうから、①と同時に

   ②印鑑届出書と③印鑑カード交付申請書も提出することが多いと思われます。

    また登記申請には直接関係しませんが、私は事実関係の確認のため、④支配人

   選任決定書を個人事業主から受領し、⑤就任承諾書を支配人から受領しています。


  ■他の方法と比べたメリットとデメリット


   最大のメリットとして、法人の場合と比べ費用が安あがりという面があります。

  株式会社設立登記の登録免許税(登記に係る税金)は15万円でかつ公証人役場への

  手数料が別途約5万円、計約20万円もかかります。合同会社の場合でも6万円(すべて

  登録免許税。公証人役場への手数料は不要)かかります。一方支配人登記の登録免許

  税は3万円と合同会社の半分で済みます。デメリットとして、商人が許可の更新前に死

  去した場合、相続されないことが挙げられます(法人の場合、社長が亡くなっても許可に

  影響はないようです)。

 
 ■その他


   昨年建築業法の改正があり、経営業務管理責任者の制度も変わるようです。詳細は

  専門外なのでご紹介できませんが、何らかの影響があるかもしれません。


 以上   


Posted by つばめ at 11:58Comments(0)商業登記

2020年04月24日

減資登記と役員変更登記を同時に申請する場合の登録免許税について~資本金が1億円以下になるケースの登録免許税はいくら?~

 

   商業登記の仕事は、簡単に言えば会社の登記簿を変更する仕事です。登記簿の

 記載事項(登記事項と言われます)の一つに、資本金があります。

   資本金を減らす手続のことを、資本金の減少登記(略して減資登記)といいます。

 官報公告などの債権者保護手続に約1ヶ月を要するなど商業登記の中では、一定

 の時間がかかる手続となっています。登録免許税(登記をする際に法務局に支払う

 手数料のこと)は金3万円です。
 
   一方、一般の方にとって1番なじみのある商業登記は役員変更登記でしょう。役員

 変更登記の登録免許税は、減資登記と同じく通常金3万円です。但し資本金1億円以

 下の会社の場合は、金1万円という特例があります。


    以前私が担当した案件で以下のようなものがありました。

  ①減資登記と役員変更登記を同時に申請

  ②減資登記の結果、資本金が1億円以上→資本金1億円以下に変更

  上記①②のケースで、役員変更登記の登録免許税はいくらになるか


   商業登記の場合、異なる登記事項に関するものを同時に申請することは頻繁にあります。

  上記①②のケースで、減資後の資本金を基準にすると、金1万円となり、顧客にとっては望

  ましい結果になります。株主総会にて減資の決定を先に行い、その直後に役員変更の議決

  をする訳です。

    一方、申請時点での登記簿の記載事項(つまりは減資前の資本金)が基準になるのでとの

  意見も賜りました。


   こうなると、管轄法務局に尋ねるしかありません。上記内容を登記相談票として作成し

  法務局から翌日回答を得ました。回答内容を簡潔に記すと、同時申請は可能だが減資

  と役員変更の効力発生日が同一だと、登録免許税は金3万円となるというものでした。


   上記回答やその際のやりとりを踏まえ、減資の効力発生日を役員変更(例、辞任)の効力発

  生日の前日にし、上記の日付にて会社としての機関決定を同時に行う形にしました。

   もう少し具体的に説明すると、まず株主総会の第1号議案として総会日を効力発生日とする

 減資の決議を行い、第2号議案として総会日の翌日を効力発生日とする条件をつけた役員

 変更を決議しました。


   上記決議に基づく株主総会議事録を添付書類とし、役員変更登記の登録免許税を金1万円

  として登記申請を行いました。結果はもちろん補正なしでした。


   件名にようなケースは、管轄法務局によって、また同じ法務局でも人事異動に伴う構成員の

  変更で取扱いが変更になるものと予想されます。レアケースでもあるので、登記申請する場合

  は、その都度管轄法務局に調整されることをお勧めして、本記事を終了します。


以上
  
      


Posted by つばめ at 18:58Comments(0)商業登記

2020年04月20日

役員変更登記に添付する本人確認書類の注意点~運転免許証の写しが表面だけだったらどうなる?~

  
  平成27年の商業登記規則の改正で、役員変更登記の際に本人確認証明書

 の添付が義務づけられました。


   内容を簡潔に説明すると、取締役や監査役などの役員の新規就任登記の

 際に、公務員が職務上作成した本人確認証明書の添付を要するとされました

 (商業登記規則第61条第7項)。

 
  本人確認証明書と言っても色々あります。住民票や印鑑証明書などが代表的

 です。代表取締役の就任などは、別の理由で印鑑証明書の添付が義務付けら

 れているので、その場合はあまり問題ありません。

  但し平取締役や監査役のケースでかつ費用をかけたくない場合では、運転免

 許証の写しがよく利用されるかと思います。


  この場合、運転免許証の写しが表面だけだった場合どうなるでしょうか?


 免許更新直後が典型的ですが、免許切り替えから引っ越ししていなければ、裏面

 は真っ白のままです。その場合、表面だけでもいいのではと思っても不思議では

 ありません。
 
   しかし残念ながら、裏面も必須です。 


 理由は、改正に伴って出された法務省の通達が裏面も添付するよう要求して

 いるからです。 「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業

 法人登記事務の取扱いについて」(平成27年2月20日民商第18号通達)の

 3ページ目の3行目に以下の記載があります。


   なお,運転免許証等,裏面に変更履歴等が記載される証明書の謄本につい
 
  ては,裏面も複写されたものでなければならない。


 裏面に変更履歴がない。→表面記載の住所が現住所だ!ということになるので

 住所の正確性をより担保するためなのかなと私は解釈しました。

 裏面の写しを取り損ねないよう気をつけましょう!!!。



以上       
   


Posted by つばめ at 18:52Comments(0)商業登記

2018年05月24日

NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第4回


   前回と前々回でNPO法人と一般社団法人の設立手続の概要を解説いたしました。

   今回は、両者の違いに焦点をあてて解説致します。また設立手続以外の項目の違い

   についても併せて解説致します。


 (1)設立手続

   ①手続に要する時間

   NPO法人     →  所管庁(県庁や市役所)での手続に多くの時間を要する
                  のが実情です。縦覧期間と審査期間を併せて通常3ヶ月
                  は要します。ただ条例で期間を短縮しているケースがあ
                  り、福岡市などはもう少し早いそうです。

   一般社団法人  →  株式会社の設立手続に極めて似ています。
                  所要期間は、公証人役場や法務局の混み具合によりま
                  すが、早くて1週間程度と思われます。

   ②費用

   NPO法人     →   所管庁や法務局に対しては、一切費用は発生しません。
                  よって、司法書士に依頼せず、当事者自身で行えばほとんど費用
                  を要せず手続できます(出費と言えば住民票ぐらいでしょうか)。

   一般社団法人  →    ・公証人役場への認証手数料として約5万円を要します。
                  ・また法務局への登録免許税として6万円も要します。
    
   ③社員(組織の構成員)

   NPO法人    →   ・最低でも10名は必要。
                  ・またNPO法人の趣旨が、ボランティア団体などの民間公益団体に
                  法人を付与することなので、団体加入の要件に不当な条件を設け
                  ることも禁止されています。
                  ・社員総会での議決権は、1人1票となる。

   一般社団法人  →   ・設立時は最低2名必要。設立後は1名のみも可(役員が社員も兼
                  ねれば社員ゼロでも構わないとされています)。
                  ・社員総会での議決権は、「原則」1人1票となる。但し定款で別段
                  の定めが可能です。
  
   ④役員

   NPO法人    →   理事3名・監事1名が必須です。監事に関しては法人の活動に従事
                  していない中立的な方を選ぶ必要があります。

   一般社団法人 →     理事1名のみも可
                  但し理事会を設ける場合は、理事3名・監事1名とNPO法人と同じ
                  役員構成となります。
  
                
   上記が設立手続を中心とした両者の違いとなります。上記以外で重要と思われる箇所
   を下記に解説します。


   ⑤事業内容

   NPO法人   →    法律で定められた20分野の活動が主目的となる必要があります*1。
                  よって例えば小売業や出身高校の同窓会など営利もしくは共益的
                  な活動が主だと、そもそも所轄庁から認証が得られません。
                  但し主目的の事業に支障が無い限り付随して行うことは可能です。

   一般社団法人 →    違法または公序良俗に反しない限り、特に制限はありません。

   ⑥情報公開

   NPO法人   →    ・事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告や決算報告を所管庁に行う
                  必要があります。上記書類は公表されます*2。
                  ・役員や定款を変更した際にも届出が必要です。
                  ・以前は資産の総額の変更登記が毎年必要でしたが、平成28年改
                   正で不要になりました。代わりに貸借対照表の公告義務が課され
                   ています。

   一般社団法人 →    ・株式会社やNPO法人と同様、事業年度終了後の貸借対照表の公
                   告義務があるのみ。


   ⑦税務

   NPO法人    →      ・法人税法上の収益事業のみが課税対象となる。
                  ・法人住民税の均等割については、免除申請により課税免除となる 
                   ことが多い。

  一般社団法人  →    ・「非営利が徹底された法人」と税務署に認定されれば、法人税法上
                   の収益事業のみが課税対象となる。

  *税務について詳しくは税理士や税務署にお問い合わせ下さい。


    以上、4回にわたり解説させて頂いたました。2つの法人の概要や違いを少しでも理解
   
     頂いたら幸いです。


 (参考文献)

   宮入賢一郎・森田真佐男 著
         『図解 NPO法人のつくり方・運営のしかた』(日本実業出版社、2007)
     
   城塚健之・堂本道信・山西克幸 著
         『図解 新公益法人の設立・運営・移行のしかた』(日本実業出版社、2008)

   脇坂誠也 著    
         『社会起業家のためのNPO・新公益法人Q&A』(三和書籍、2009)

   登記研究編集室編   『法人登記書式精義 第1巻』 (テイハン、2009)

   登記研究編集室編   『法人登記書式精義 第3巻』 (テイハン、2014)

   後藤孝典・野入美和子・SUパートナーズ税理士法人著
    『事例にみる一般社団法人活用の実務 法務・会計・税務・登記(第2版)』
                                      (日本加除出版、2016)


  *1  特定非営利活動法人促進法 別表(第2条)
     1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
     2.社会教育の推進を図る活動
     3.まちづくりの推進を図る活動
     4.観光の振興を図る活動
     5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
     6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
     7.環境の保全を図る活動
     8.災害救援活動
     9.地域安全活動
    10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
    11.国際協力の活動
    12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
    13.子どもの健全育成を図る活動
    14.情報化社会の発展を図る活動
    15.科学技術の振興を図る活動
    16.経済活動の活性化を図る活動
    17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
    18.消費者の保護を図る活動
    19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
    20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動


  *2  福岡県NPO・ボランティアセンターのホームページでは、提出された活動報告や決算
      報告の内容が掲載されている。ホームページ内のかんたん団体検索などから興味の
ある法人の活動内容などを知ることができる。




  

  




               
     


Posted by つばめ at 17:39Comments(0)商業登記

2018年05月21日

NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第3回


  第3回は、一般社団法人の設立手続と組織構成を解説致します。

 (1)設立手続

   ①定款案の作成
    →2人以上の設立時社員(一般社団法人の社員になろうとするもの。株式会社の発起人
     に相当)が共同して作成する必要があります。

  ②公証人の認証

    →公証人役場の公証人の認証を得て、上記定款が有効になります。その際認証手数料
     として約5万円を要します。


   ③設立時理事等の選任

    →設立総会で選任されます。通常は設立総会を①の時点で行い、定款などと一緒に決
     定することが多いでしょう。

   ④設立登記の申請

    →主たる事務所を管轄する法務局へ登記申請を行います(*1)。なお登録免許税として
     金6万円を要します。

  ⑤登記完了・法人格取得

   
   *1申請書以外の添付書類は以下のとおり 
    (理事会及び監事を設置せず、理事2名のケース)
   
   ①定款
    ②設立時社員の決議書
     (例えば、定款ではなく設立時社員が設立時理事を選任した場合や主たる事務所の
      所在地を定めた場合に添付する)
   ③設立時代表理事の互選に関する書面
     (設立時理事が設立時代表理事を互選した場合に添付する)
   ④設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書
     (②または③の会議の席上で、被選定者が就任を承諾した場合「就任承諾書は②ま
     たは③の記載を援用する」で省略可)
    ⑤設立時理事の印鑑証明書

    ・代理人申請の場合は委任状が必要です。

 前回のNPO法人の場合と比べて、手続自体はかなり省力化されているといえます。
 
 次回は両者を比較して、より相違点を明らかにしていきます。


 
 当ブログは、過去に3年ほどNPO法人の役員経験のあった司法書士による
 
 司法書士事務所の公式ブログです。

 設立相談などありましたら当事務所まで是非ご一報を。なお初回相談は無料

 でさせていただいております。



     


Posted by つばめ at 15:28Comments(0)商業登記

2018年05月18日

NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第2回

 
 第2回は、NPO法人の設立手続と組織構成について取り上げます。

(1)設立手続

 ①発起人会の開催
 
  →設立企画者(発起人といいます)が集まり、定款や設立趣意書など設立認証に必要な書類
   の原案を作ります。

 ②設立総会の開催

  →設立当初の社員(組織の構成員、株式会社でいう株主みたいな立場の人です)が集まり
    法人設立の意思決定を行い、定款や設立趣意書など設立認証に必要な書類を審議決定
    します(*1)。

 ③設立認証の申請

  →所轄庁(政令指定都市や都道府県)へ申請書類を提出。形式上の不備がなければ受理
   されますが、提出前に打合せを行えば、申請後の手続が比較的スムーズに進むでしょう。

 ④申請書類の縦覧期間(1ヶ月)
 
  →申請書類を一般市民に公開します。縦覧期間を設ける趣旨は、申請団体が不適切な団
    体ではないか一般市民のチェックを受けるためとされています。以前の縦覧期間は2ヶ月
   でしたが、平成28年改正で短縮されました。地方自治体によっては、縦覧期間を条例で
   短縮しているケースもあります。

 ⑤認証・不認証の決定(縦覧期間終了後2ヶ月以内)
  
  →認証の場合は、認証書が発行されます。不認証の場合は、理由を示した書類が発行さ
    れます。④と併せて考慮すると、認証手続に通常3ヶ月はかかることになります。

 ⑥設立登記の申請
  
  →認証書が到達して2週間以内に、主たる事務所を管轄する法務局へ登記申請を行い
    ます(*2)。

 ⑦登記完了・法人格取得

  →完了後、所轄庁へ登記完了報告を行う必要があります(その際、法人の登記事項証
   明書と財産目録も要提出)。

 *1認証に係る必要書類は以下のとおり(特定非営利活動法人促進法第10条)
   
   ①申請書(所轄庁のHPにひな形が準備されていることも多いです)
   ②定款
   ③設立趣意書
   ④役員名簿
   ⑤役員の住民票(原本)
   ⑥設立総会議事録(設立の意思決定を証する議事録のことです)
   ⑦役員の就任承諾及び誓約書の写し
   ⑧10名以上の社員が掲載された社員名簿
   ⑨設立初年度及び翌年度の事業計画書
   ⑩設立初年度及び翌年度の活動予算書
   ⑪法人が宗教・政治団体や暴力団関係の団体で「ない」ことの確認書

 *2 申請書以外の添付書類は以下のとおり
   
   ①定款
   ②代表権を有する者の資格を証する書面
   →就任承諾および誓約書のことです。
   ③資産の総額を証する書面
   →設立当初の財産目録を添付します。
     法人によりますが、通常が財産ゼロのケースがほとんどでしょう。
   ④所轄庁発行の設立認証書

  ・代理人申請の場合は委任状が必要です。
  ・定款で主たる事務所の所在地を最小行政区画(例えば、福岡市博多区など)まで
   しか定めていない場合、本店所在地を決定したことを証する書面(理事会議事録)
   も必要です。

 
 (2)組織構成
                社員総会
             (最高意思決定機関)  
           *最低10名の社員が必要。

                  ↓

                   役員
          *理事3名以上、監事1名以上必要。
          *社員の中から選んでかまいません。
   
 
 
 次回は、一般社団法人の設立手続をご紹介します。
 
 当ブログは、過去に3年ほどNPO法人の役員経験のあった司法書士による
 
 司法書士事務所の公式ブログです。

 設立相談などありましたら当事務所まで是非ご一報を。なお初回相談は無料

 でさせていただいております。


 
   
    


Posted by つばめ at 10:31Comments(0)商業登記

2018年04月16日

NPO法人と一般社団法人なにがどう違う?(特に設立手続を中心に)第1回

 私事ですが初めて行った登記手続は、NPO法人の設立手続でした。

 当時任意団体だった所属団体が、諸事情で法人化することになり試験勉強も兼ねて行った

 次第です。


 今回は、違いがよくわからないNPO法人(正式名称は特定非営利活動法人:以下NPO法人

 と呼ぶ)と一般社団法人の違いなどを中心に、数回シリーズで掲載していきます。

 
 第1回は、そもそも法人とは何か、法人のメリット・デメリットについて解説していきます。


 1 法人とは

  私のような名前のある1人1人の人間のことを法律上自然人といいます。

  自然人は、出生と同時に権利義務の主体となります(民法第三条1項)

  自然人とは別に、法律に基づいて「権利義務の主体」としての資格を与えられた団体(主に

  人の集合体ですが、財産の集合体のケースもあります)のことを法人といいます。

 2 法人の種類(公的な法人を除く)

   様々な分類方法があると思いますが、この記事では、営利性の有無と公益的な活動か

   否かで以下の4つに分類します。

  (1)非営利かつ公益的な法人

     ・NPO法人       ・学校法人      ・宗教法人
  
     ・社会福祉法人    ・医療法人

  (2)非営利かつ必ずしも公益的ではない法人

    ・一般社団法人         ・一般財団法人

    ・労働組合            ・信用金庫、信用組合  

    ・生協(いわゆるコープ)    ・農協(いわゆるJA)  

  (3)営利かつ公益的な法人

     (いわゆる公益企業)
     ・電力会社 ・ガス会社  ・バス会社

  (4)営利かつ必ずしも公益的ではない法人

     (いわゆる営利企業)
    ・株式会社    ・有限会社
    ・合名会社    ・合資会社   ・合同会社

 
 *非営利性とは
   
   →  一般的に誤解が多い用語なので解説いたします。
      儲けてはいけないという認識の方が多いように見受けられます。
      
      しかし儲け(黒字と言ったほうがいいかもしれません)がないと法人
      そのものが維持できません。黒字を出すことは全然問題ありません。

      黒字の処理の仕方の違いで、非営利とは、法人の構成員(株式会社
      では株主、NPO法人では会員)に黒字を分配してはいけないことを
      いいます。なお、従業員は雇用契約で雇われている労働者であり
      この場合の法人の構成員には該当しません。過大でなければ給料
      を支給することは全く問題ではありません。
  
  *公益性とは
 
    → 「社会全般の、不特定多数の利益」のことをさします。
      
 
 3 法人のメリット・デメリット


 □メリット  

  ① 社会的信用が高まる。
  
   →通常、法人の方が相手に安心感を与えることができます。

  ② 法人名による登記や契約ができる。

   →任意団体では、代表が交代する度に改めて契約や登記をし直す必要がある。

  ③ 事業委託、補助金、寄付金が得やすくなる(こともある)。
  
   →募集要項などで、法人格が必須になっているケースが散見される。

  □デメリット

  ① 法人税が課される。

  →利益がなくても、法人住民税(県や市)の均等割の納付が必要となる
   (但し免税措置を採用しているケースも多い)。

  ② きちんとした経理や事務処理が求められる。

  ③ 事業報告書(NPO法人の場合)や決算書類の作成が必要となる。
  
  →②と重複しますが、特にNPO法人では毎年役所への提出物があります。


 以上のように、メリット・デメリットがあります。各々の団体の特性に応じて法人格の
 
 取得の可否を決めていただければと思います。

  次回は、NPO法人の設立手続について、細かく解説する予定です。

 なお、当ブログは、過去に3年ほどNPO法人の役員経験のあった司法書士による
 
 司法書士事務所の公式ブログです。

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Posted by つばめ at 17:36Comments(0)商業登記